君が君で君だ
7.27
もうあらすじだけで意味わからなさすぎて見るのが怖かった映画。
「好きになった子を10年集団ストーカーをしている」って字面だけでやばい。怖すぎる。
でも映画の冒頭、男の子がわちゃわちゃしててすごい楽しそうで、こういう微笑ましいの好きーー!
好きな人の行動にいちいち感情が揺れてしまったり、きゃっきゃするやつ。遠い昔の「好き」を見ているようだった。あったなぁ、あんな時代。好きな人の何気ないことも嬉しいってやつ。無邪気な「好き」が見えた。
でもやってることはストーカーなんですけどね…
この映画見る2日前にファントムスレッドを見ていて、余計好きってなんだろうってなってしまった。
借金取りのボスのこんなに愛された事ある?ってセリフ、
愛情表現、みんなそれぞれ違うよね。なんかカップルでお互いが同意してる愛情表現ならいいんだけど、ずっと一方的な愛の押し付けだったので苦しくなった。つらい。
最初は3人が同じような愛情を持っているのかと思ったけど、どんどん方向性が違うって分かっていく。
坂本龍馬は以前付き合っていた時からそうなんだけど、どうしても彼女の気持ちより自分の思いをぶつけたい、自分の好きを優先したいっていう重くなってしまう自分本意な愛。
ブラピは一目惚れから始まったので一番一般的な好きだったのかも。だけど、みんなでワイワイするからこその愛で、あの場所を守っているファンみたいな立ち位置に見えた。
尾崎は…尾崎はね~、人を好きになったことがないから分からないってセリフあったんだけど、好きを自覚してない。好きって感情に好きってラベルを貼れなくて苦しんでいる。
だから彼女と同化したかったのかもしれない。彼女を理解するために彼女の全てを飲み込む。「今の感情がわかんない、誰も教えてくれない。」って尾崎のセリフあったけど、
あーーーーほんと!これ!そうなの!!この感情は体験するまで知らないし、これが何なのか誰も教えてくれないんだよ。一体なんなんだって自問自答するしかない感情。分からないし苦しいし、誰か教えてよ早く楽になりたいって思うよね。好きって素晴らしいみたいな刷り込みあるけど、実際はすごく苦しいもん。
恋ってはしかみたいなものだなって思ったことがあるんだよね。本当は子供のうちに感染するはずなんだけど、それを逃して大人になってからだと重症化してさらに辛くなるところが。
私のちゃんとした恋は大人になってからだったから、尾崎ほどではないにしろ、好きを飲み込むまでが辛かった。好きの感情を自分で持て余してしまって、どうコントロールすればいいのかわからなくて。みんなこれ思春期に体験したの壮絶すぎない?って思ったもん。
あと、尾崎が「お前は抱きしめることしかできないだろ?俺は違う」ってシーンがあって、本当に気持ちに重きを置いている人なんだなって。一番狂気の人だったけど、いつから壊れてたんだろう。 それともこれが尾崎の愛情表現なのかな。
この3人に次いで登場する彼氏。あの彼氏は彼女にひどい扱いをしているけど、やっぱり最初の頃はちゃんと好きがあったんだって安心した。過去の彼女が好きだった。思い出の彼女が一番だって、過去に囚われてるけど。
そこで尾崎の言った「彼女が変わった?人は変わるもんなんだよ。変わっていくとこをも含めて彼女だ」
これはーーーうーん、本当にね。そうなんだけどね。難しいよ。自分も無意識に変わっていくから、一方的に変化を否定するのは矛盾がある。思い出は美化されがちだけど、それでも理想の彼女だった過去のあの時がよかった。変わってしまった彼女を見るのが辛かったんだろうな。
もうやめよう解散となってから、10年の生活が長い夢だったみたいにパッと消えてしまった。憑き物が取れたみたいな顔だった。
本当に男の愛情って感じだった。見守る愛。自分が関知しないところでの行動も何もかもを優しく見守り全てを受け入れる。好きだけど自分の範囲から離れても、それでも相手の幸せを願う。みたいな。
女の人はあんまりないよね、「手に入れたい愛」だもん。私には全く出来ない事なので、素直にすごいと思った。私は自分の範囲内での相手の幸せを望むので、そういう考えもあるって理解はできるけど全く共感できない。すごいよ、男の人。
私的には「だって好きなんだもん」は免罪符にならないって思ってる。好きだから起こす行動は結局自分本意な行動だから。
だからみんなそれぞれの想いがあったとしても、それがどんなに強くても、自罰的でも、自己犠牲が伴っても、やっぱりどこか自分本意だった。
あの3人には自分を大事にしたうえで誰かを愛せるようになって欲しい。